事故車の修理を行うにあたって条件がいくつかあります。
その条件が一つでも欠けると思わぬ時間が掛かったり、最終的にバンパーやヘッドライトのチリが合わなかったりするのです。
事故車の修復に肝心なのは寸法です。高さを測定するのがレーザーフレームゲージです。
直線や対角の長さを測定するのに便利なアイテムが完成しました。サービスホールアタッチメント。
レーザーフレームゲージの使用例
一般的な床式固定です。
水平にセットしたプレートに同サイズのスタンドを用い、ロッカパネルをクランプし固定をする装置です。
しかし、これだけで完全水平固定と言えるのでしょうか?
この環境で完全水平と言えるのは床にセットしたプレートだけなのです。 懸念をするのは4個のスタンドの精度とその加工クリアランス。物と物を組み合わせるにはどうしてもクリアランスが必要です。
事故車を固定する時にはそのクリアランスが4か所同じ条件で組み付ける必要があります。
それと一番大きな懸念はエンジンです。エンジン、ミッションの重みで完全水平の取れる環境はかなりキビシイのです。画像のような事故車の場合はエンジンを降ろすか重みを支える方法を取らなくてはなりません。
*画像の修正機は参考画像であり、この修正機の精度を疑うものではありません。 |
条件 2 修理箇所(フレーム)の修理周辺は360度付属部品が無い事 |
上記画像はロードスターNA8Cの左フロントサイドフレームですがかなり損傷をしています。
このサイドフレームを修理しようとすると、この周辺の部品は勿論の事、それ以外の余計な付属物(計測装置など)は修理の邪魔になるのです。
どの年代の車もフレームなどは引っ張っただけでは直らないのです。まして昨今の超高張力鋼板では皆無です。
必ず寸法を出してからハンマリングが必要です。フレーム修正機で引っ張って寸法さえ出ればそれでやめてしまうというボディショップも存在します。しかし、そこはもう一つ手間を掛けて完全なものに仕上げたいものです。 |
修正機で引っ張り、寸法が出れば必要に応じてフレームを切開しハンマリングをしてその歪みを抜く事が肝心です。
それを怠ると少しの衝撃でまた元の変形をした位置に戻るからです。 |
ロードスターNAのフレーム部分の寸法図(直線距離)です。
各主要な位置からの直線距離が示されています。まさにボディショップにとっては必要不可欠な設計図です。
随分昔は事故車修理にあたり、この設計図が無かったため反対側の寸法を修理する側にフィードバックしていました。しかし、そのやり方は危険であり、上記ロードスターの左フレームを修理しようとした場合、事故により右側の長さは変形しにくいのですが左右への振り変形は十分可能性があります。
仮に右側が右に振っていたとしてその対角の寸法を採用し、左のフレームに適用すると、フロントサイドフレームは規定より前広がりになってしまうのです。
また、左右非対称な車も存在するため、ボディチャートは必需品となります。 |
直線距離を測るコンペアゲージ。トラッキングゲージとも呼ばれます。
フレームの修理中は絶えずこのゲージで寸法の確認を行います。
この測定に便利なサービスホールアタッチメントを開発しました。詳しくはページ下方に記してあります。 |
画像はサンプルのフレームにレーザーフレームゲージ(Laser Frame Gauge PAT.PEND)
をセットしたところです。 |
実際の車だとこのような接続になります。
ボディチャートの平面投影法に記された高さを測定する機器です。
画像では分かり易くするためリフトアップした車で撮影をしていますが、実際にはフレーム修正機に固定をした状態で使用します。 |
平面投影図には仮想基準線(ロッカパネル下面より100mm下に仮想の面)よりの高さ寸法が記載されています。
レーザーフレームゲージはその高さを測定する機器です。上記寸法図でA,aやB,bなどのポイントはロッカパネル下面100mmからの距離が示されています。上記、条件2のロードスターの左サイドフレームは見ただけでフレームが下がっているのがわかりますが、ほんの数ミリの変形は人間の目では判断が付きません。
このゲージは仮想基準線に水平レーザーを照射し、チャートに記載されたポイントにゲージを吊るし、ポイントの高さを確認できる機器なのです。損傷個所の特定だけではなく事故車を完全水平に固定できる機器でもあります。 |
このゲージの最大の特徴は取り外しがワンタッチなのです。
多くの測定機器はその構造が複雑で大掛かりなものが多いと思います。とてもじゃないですがフレームを修理中に扱えるものではありません。条件2で説明したように修理をしようとするその周辺には邪魔なものは無いようにしたいのです。
実務で経験された方だと誰にも理解できることです。
このゲージの特徴は絶えず仮想基準線にレーザーが照射されていて必要な場合にだけゲージを吊るし高さを確認し、すぐに取り外し次の修理工程に進んで行けるのです。
画像では左サイドフレームのA,a B,bが、長さ(コンペアゲージ)対角線(コンペアゲージ)高さ(レーザーフレームゲージ)によって確認、修理されています。
確かな寸法というのは、長さ、対角、高さが交わる空間の中の一点を見出すことです。
そして、次の溶接作業にむけて歪みが出ないように補助固定したところです。
勿論、フェンダーやバンパー、ヘッドライトなどの仮合わせ作業は一切ございません。
すべて設計図とおりにすれば全く必要としません。 |
何の問題もなく完成しています。
大事故車であってもこの5つの条件を満たせば簡単に直るのです。言い換えれば全くの素人でもA,a B,b個所の損傷状態は把握できるのです。鉄板を叩いてほぼ真っ直ぐに出来るぐらいの器用さがあれば間違いなくフレーム修正もできます。
余談かもしれませんがこの修理をしたスタッフはペインターです。塗装職人なのです。 |
相当な事故車でも復元を可能にします。
ここで紹介をする例はほんの一部です。この作業を塗装職人がコンペアゲージとレーザーフレームゲージのみで完成しているのです。
|
*予告なく仕様、外観を変更する場合がございます
使用例【YouTube】
このアイテムは車の基準となる穴(サービスホール)に取り付けコンペアゲージの針を固定する装置です。 |
画像はAE86のフロア基準穴です。一般的なボディチャートでは【T】の位置です。
穴の直径は13mmとなっています。 |
そのサービスホールに13φのアタッチメントを取り付けます。
マグネット方式なので簡単に取り外しが可能です。 |
コンペアゲージの針先を入れた画像です。
確実に13φのセンターで測定が出来ます。
円錐形のアタッチメントも存在しますが角度差があれば誤診断をしてしまいます。
このアタッチメントを販売しております。直径、必要個数を明記して下記よりお問合せください。 |
|