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暫くホームページの更新ができませんでした。まして、「板金屋」なのに板金のサイトがありませんでした。アライメントの更新に追われ本業のサイトが遅れてしまいました。

ここではNetz Cup アルテッツアシリーズ参戦中車両の板金、フレーム修正を紹介します。

このシリーズも本年が最終年となり、2000年より当ショップも携わって参りました。しかし、その中身は公表しませんでした。思い越せば新車製作14台。修理車両、数知れず。。。

その携わった車両で他チームを含めシリーズチャンピオンを3度も取って頂き(2006年10月現在)大変有り難く思います。チーム関係者を初め、各ドライバーの方々、スポンサー様には最大の敬意を表するものです。

今回、おそらく当ショップにしても最後になるN1アルテッツアの修理は#33 ペルマガードアルテッツア(テクノファーストレーシングチーム)です。

2006年10月1日スポーツランドSUGOにて無念のクラッシュをしたものです。その修理は10月18日より取り掛かり11月初旬には済ませたい覚悟です。(このサイトを作成しているのは10月20日です)
この修理に掛かるまで同時クラッシュの#049 裕也眼科レーシックアルテッツア(レーシングチームサージェント)の修理をしていたのです。

尚、今回の修理は当ショップ開発のフレーム寸法測定機を使用しています。この測定機は只今パテント申請途中のため公表できませんが来年 スエカゲツール梶@Pro−Autoより全国販売致します。

毎日?、更新をしながら修理風景をご紹介します。

○ 10月18日





右リヤクォーターは激しく潰れ、サイドメンバーもキャビンに押し込められています。リヤサブフレームも変形し大ダメージを負っています。しかも、メンバーの取り付け位置も大きく損傷を受けています。
左クォーターの損傷は右程でもなく、インナーの修正とアウターの板金を試みてみます。

○ 10月19日



右リヤの租出し作業。

画像では直った感じですが、、、とんでもない。引きのポイントが一致すると画像のとおり直った感じで粗出しが完了するのです。

この車は本年度開幕戦でアクシデントでのクラッシュを受けたため左右のクォーターを取り替えています。

スッポットの数は半端ではなく修正は困難極まりないのです。
まだまだダメージは残っています。

見えているサイドフレームは損傷時、約90度変形していましたが粗出しでなんとか格好はつきました。

しかし、再利用は不可能ですので取り替えるため部品の発注を済ませこの日の作業は終了。

○ 10月20日



本日は左クォーターの板金に専任。

アウターもさることながらインナーの修正には時間が掛かります。

その他の作業としてリヤパネル、フロアパン等の切断で本日終了。
○ 10月23日

本格的な取替え作業が始まりました。

本日、丸一日掛かってここまでの作業。。。先が思いやられる。

なんせスポットの数が半端ではなく通常のスポット剥がしなど到底歯が立ちません。

ベルトサンダーで一つずつのスポット剥がし。もう根気との勝負でしかありません。

いつかは完了する。確実に前に進んでいる。と自分に言い聞かせ黙々と作業を進め本日、終了。。。


○ 10月24日



本日の仕事は右サイドメンバーの修理。いよいよ急所に近づいてきました。

相変わらずのスポット剥がしと同時作業ですが確実に修理ポイントを抑え初めました。





右インナーフェンダーの修正。かなりのダメージを負っているが交換する訳にはまいりません。なんせ複雑にパネルが張り合わせてあり、交換するとなれば右側パネルの殆んどを切り離さなくてはならないのです。

ここは当て盤とハンマーの仕事しか方法はありません。少しでも復元を助けるため入力と逆方向に引き作業を同時にします。

高張力鋼板の修理は絶対熱を用いてはなりません。その強度を失ってしまうからです。
限りなく引き作業の力を利用し、ハンマーで原形を確保します。


まだまだ一部ですが原形を見るようになりました。


サイドメンバー取り付けメンバーは超張力鋼板を採用しているのでハンマーが効きません。よって、切断修理の方法を採りました。
インナーパネル修理と前後しましたが、サブフレーム取り付け位置の修理です。

サブフレームにはサスペンション部品がすべて取り付けられます。その大事なサブをとりつけるのはモノコックボディーメンバーです。ホイールアライメントやコーナーウェートを掌る大事なポイントと言えます。

フレームチャートに記載されている寸法を確認後その引きポイントを決定します。
本車の場合、直線の狂いは無いもの幅及び高さの狂いが確認できます。

幅(振り)の狂いと高さの誤差を同時修正しているところです。

当ショップ開発の測定ゲージ(只今パテント申請途中)は車の仮想基準線より何ミリの誤差があるか瞬時に判断し、修正をしながら測定を可能としています。
よって、本日は予想もしない個所まで修理が進みました。


○ 10月25日





本日の仕事は右リヤクォーターアウターの残ったスポットの取り外し。

いいかげんにウンザリしてきました。くどいように言いますが、なんせビッシリと入ったスポットなのでベルトサンダーにてアウターの鉄板一枚を削る作業です。
インナーの鉄板の皮一枚残しアウターのみ取り外し。。。
サンダーが潰れるのが早いか鉄板を取り除くのが早いか、、、競争です。既に替えベルトは3箱ゴミ箱に。。。。



スポット剥がしもかなり飽きてきたのでホイールハウスの板金をしました。

補助引きを加え、目視ではありますが原形にほぼ近い形に整形します。
裂けていたパネルも溶接で一体にし、明日よりいよいよ新品パネルの仮合わせができそうです。


事故直後のインナーパネルが下の画像です。
苦労の甲斐があり、いよいよ復活です。




本日の獲物です。小物は放流しました。


ベルトサンダーとエアコンプレッサそれに体力、気力に感謝し、本日終了。
○ 10月26日

細かな修正などに手を取られ作業が思った以上にはかどりません。

仮合わせでの大事なポイントはやはりサイドメンバーの位置です。

この位置が基本になりフロアやクォーターが付きます。

先日、切り離したメンバーの一部ですが、この部品は新品のサイドメンバーに添って付きます。常盤の上でハンマーで整形し新品とのクリアランスを整えます。




新品部品はある意味、冶具にも利用できます。

フロアやクォーター、リヤパネルなどが付く大事なメンバーの位置を掌るのが切り離したメンバーの一部と言えます。

このままの状態で新品メンバーの先端が三次元で計測した位置で固定し、切り離したメンバーの一部を本体に溶接するのです。

フロアパンまでの仮合わせは終了しましたが、細かな補助修正が残っています。

それもそのはず全くチャートには載っていない個所ですので目視での粗出し状態です。

明日は永遠と細かな作業を余儀なくされます。


○ 10月27日



昨日、仮合わせをしたメンバーですが、このまま本付けはできません。

この作業はあくまで切り離したメンバーの一部を溶接するだけのためです。

その潰れたメンバーの一部を復元するのに一日の仕事の時間が費やされたのです。
これだけを溶接するのに一日も掛かったのか?と思われるでしょう。

実際は溶接作業に向け、補助固定と計測を徹底したからです。

溶接には熱がつき物です。その熱でせっかく修正をしたサブフレームの取り付け位置を歪むことを未然に防ぐのです。





クラックが数多く入っていたインナーパネルを切り取り、いよいよサイドメンバーの復活作業です。




○ 10月30日



サイドメンバーの本付け作業を終え、フロアバックパネルの取り付け、溶接が始まりました。

4月の修理の際、もう二度と見ないと思ったインナーパナルです。
再び拝見した記念にサインをしてパネルを閉じることにしました。

一緒に居てた部品商さんも大笑いでした。


閉じてしまえば何か寂しいものを感じてしまうのでした。



切開をしていたホイールハウスをふさぐ作業の順番が回ってきました。

板金には何事も順番があり、その時のタイミングでしか行ってはいけない作業があります。

まさにここの部位はこのタイミングでしか行ってはいけません。最後にするのがベストと言えますが、それでは手が入らなくなりハンマーを旨く使えないのです。

骨格が決まり、ハンマーを使える。そして溶接もし易いこのタイミングで張り合わせを行います。


但し、今回の修理はクォーターアウターパネルやリヤパネルなど一切の仮合わせを行っておりません。
それなのにメンバーやフロアを本付けしています。仮に、寸法などが間違っていれば大変なことになります。

その不安は頭の中で絶えずよぎるのですが、、、、今回はパテント申請中の三次元測定機を100%信じ、明日も作業を進めて行きます。


○ 10月31日



昨日、仮付けをした個所を本付けし、サンダーで仕上げています。
フロアパンを本付けし、サンダーで仕上げ、塗装が出来るよう塗膜をエッジングします。

クォーターやバックパネルを取り付けてからではこの作業が困難なので先に済ませています。

明日はいよいよクォーターとバックパネルの仮合わせです。
うまく合う事を願って、本日終了。


○ 11月01日









やはり最初の寸法出しにこだわったため、クォーター及びリヤパネルは何の問題も無く付きました。トランクやテールライトのチリも申し分のないところです。

予想はしていたもののホッと安心の瞬間でした。設計図(ボディーチャート)を忠実に修理をすれば必ず直るもので精度も損ねないものと信じます。

来月、ホイールアライメントの研修生を迎えるのですが、アライメントの基礎はボディーです。三次元測定の理論は正にこの車の修理に集約されると感じ、新たな資料を作成し、この日は終了。

ここで少しお知らせをします。

当ショップではホイールアライメントの研修をしております。(詳しくはこちらまで。)更にその一貫としてボディーマンの研修生も若干名募集します。(近々に当ウェブサイトで詳細をアップします)経験、未経験を問いません。このような修理を経験とか勘とかで修理せず理論に添った修理を勉強して頂きます。

独立希望者及び後継者に限らせて頂きますが興味のある方は078-975-1661(大西 康弘)まで連絡をしてください。

○ 11月02日



本日は当然のことながら溶接、溶接の一日でした。

ただひたすらにこの作業のためお見せできるものはありません。

溶接完了まで暫くお待ちください。
○ 11月06日

溶接、終了。

画像では分かりにくいかもしれませんが、再びスポットをビッシリ打っています。

アウターパネルのスポット増しがどれぐらい効き目が有るのかは論外とし、とりあえず左側と同じだけのスポットは完了しました。




粗出し状態だった左クォーターをナラシ板金。

この後、パテで整形し、いよいよ最終工程の塗装の始まりです。
○ 11月07日

きょうはかなり気合を入れての作業をしました。

両方のクォーターのパテを仕上げ、サフェーサーを塗布し、インナー色までを仕上げる覚悟での作業でした。

バンキンは下手ですがパテの仕事は得意です。






残業を余儀なくされましたが、予定通り完了です。

明日はテクノファーストレーシングチーム、今村チーフにサスペンションを組み付けて頂きます。

その後、ペルマガードカラーにアウターを塗装をし、当方の役目は終了となります。

○ 11月08日




本日、ついに完成を迎えました。

長かったようで短かった3週間でした。他の仕事は殆んどせず没頭をした期間でした。法人ユーザー様、個人ユーザー様には大変ご迷惑をお掛けした期間でしたが暖かいご理解を頂き、感謝しております。

テクノファースト店長自らの引き取りを頂き、今回の修理完了に大変感謝して頂きました。この瞬間は板金屋冥利につきます。

3週間、難問を訴え反抗期のような車でした。しかし、納車となるとまるで娘を嫁に出す気分のようで淡々と積車に積み込み、当方の役目は終了です。

11月26日は富士スピードウェイで樋口統也選手と共に#33 ペルマガードアルテッツァ の記念撮影をし、当サイトにアップしてこの修理ブログを終えたいと思います。

出来る事なら優勝やな。「樋口、ガンバレ!」

○ 11月23日

ボディーマン研修生の募集は終了しました。アライメンター研修生は引き続き募集中です。

たくさんのお問い合わせありがとうございました。三次元測定機の販売は来年になりますことご了承ください。
○ 11月26日




すべての修理、テストを完了し、再び甦った#33ペルマガードアルテッツァ。【ドライバー】 樋口 統也

土曜日の予選では1'58.119をたたき出し見事予選2位。フロントローの獲得、しかもコースレコードを更新するRマーク付きでした。
チームにとっても樋口にとっても嬉しいポジションです。当然、私にとっても最高の瞬間でした。

しかし。。。。。。。

なんと、スタート直後の1コーナーで後続車に追突をされてしまい大きくバランスを失い、3番手に降格。

しかも、リヤバンパーが脱落する危険があるので無念のピットイン。
その時すでに後方へと追いやられてしまいました。

なんと、次の周回で#33にドライブスルーペラルティ。
バンパー取り外しの際、エンジン停止を怠ったためです。

結果は無念の18位となってしまいました。

#33の後には魔物が付いているのか?



【画像提供】Club Altezza


#33 樋口選手には散々な2006年シリーズになってしまいましたが、その過去の栄冠は素晴らしく、現在でもS耐で活躍をしております。

この日、同時に#1 佐々木 雅弘【ファブレス アルテッツァ】の優勝。#34 峰尾 恭輔【ネッツ兵庫 アルテッツァ】の3位を筆頭に#049小原 健一【裕也眼科レーシックアルテッツァ】8位。#35谷口 行規【THE DOG アルテッツァ】10位。とテクノファーストレーシングチーム、レーシングチームサージェントの活躍は特筆すべきでした。

2006年キングオブアルテッツァシリーズにおいてもメンテナンスガレージ1位。テクノファーストレーシングチーム。ドライバー部門では#1 佐々木 雅弘【ファブレス アルテッツァ】2位。#34 峰尾 恭輔【ネッツ兵庫 アルテッツァ】4位。を獲得しました。

ちなみに、樋口君は10位でした。。。。

今回の修理ブログは競技車両を紹介しました。今後、機会があれば再度、当サイトでご紹介します。

今回のブログや当日のトヨタモータースポーツフェスティバルを観戦し、モータースポーツファンはまだまだ数多くいらっしやる事を認識しました。
モータースポーツ低迷の時期、大変嬉しく思います。F1やGTだけでなく、末端からのカテゴリーでステップアップ出来るような環境を作っていただきますようメーカーを初めとする関係者にお願いをするばかりです。

今回、このブログに対し、数多くのご意見を頂きましたこと、この場をお借りしてお礼申し上げます。画像を提供して頂いたClub Altezza 様のサイト管理人【ぎんある様】ありがとうございました。


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